15 日常生活への復帰訓練

■2021年12月11日

リハビリ室には模擬階段の他に模擬風呂もある。階段の上り下りや、風呂に入り出る動作をゆっくり慎重に訓練した。

元気だった頃は何の問題もなかった動作が、今は容易ではない。むしろ風呂桶の段差は障がい者には大きな脅威だ。

左脚はまだ機能していない。腰を風呂桶につけることもできない。全ての動作は数センチずつ慎重に重心移動を繰り返した。

夕方、実際にシャワールームをお借りしてシャワーを浴びる訓練もしてみた。最初に私の目に飛び込んだのは妻の左わき腹。

人工腰椎を入れるために器具の搬入路としてメスを入れた切開部は約30センチ。一直線に日本刀で切られた様相。本当に痛々しい。

更に、背骨には人工腰椎を固定するためのボルトを6個背骨に埋め込んだが、それぞれ5センチずつの長さで縦に切り刻まれた6本の切開部は妻の厳しい現状を物語っていた。

投身による外部内部両面の痛みが手に取るように分かる。代われるものなら、今すぐ代わりたい。心の中でそう叫んだ。

次回更新は9月10日(水)、20時の予定です。

 

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