「ジョシュ……!?」

「え……!?」

ジョシュは、小さな体で自分よりも大きい斧を軽々と片手に持ち、落ちてくる木を反対側へ切り倒した。火は雨のおかげでほかの場所に燃え移ることもなく消えた。ジョシュは息切れを起こしたり、疲れ切ってその場に倒れこむこともなく、なんともない様子で、動けない様子のティーナに話しかけた。

「あ……えっと、大丈夫?」

「う、うん……ありがと」

「お前、なんで……」

ログが、どうしてジョシュがここにいるのか聞いた。「たかが嵐でしょ」となめきっているティーナたちを追いかけてきたらピンチだったので助けた、と話した。ティーナはログの手を借りて立ち上がり、ジョシュに笑顔でお礼を言った。

「ありがとうジョシュ。ジョシュがいなかったら、あーし死んでたよ」

「うん……」

今回助けられたことでティーナのジョシュに対する評価は百八十度変わり、笑顔で話すようになっていた。しかし、ログは全く評価を変えなかった。こんなに強いのに、どうして怖がりなのか。本当に怖いのか?と。

「お前、結構強かったんだな」

「え? あぁ、まぁ……腕相撲には自信あるよ……」

「なのにどうして自信ないんだよ? 『怖い』って言ってたが……」

「……怖いもんは怖いんだよ」

「……そうか」

この日はジョシュと一緒に寝泊まりすることになった。

「そういえば、ジョシュって普段は斧をどうしてるの?」

食事の最中、ティーナは木に寄りかからせていたジョシュの斧を見た。

「いつも肩から掛けてる紐に結びつけてあるんだ。うまいこと固定されるようになってるんだよ。でも、面倒くさいからいつもは手で持ち運んでるよ」