「今のところ、わかっているのは、さっき話した通り。中央にある給湯室の原型を大きくしたと思われるものが中央棟で、屋上から見ると……何と九鬼家の家紋、七曜の形をしているの。これなんかありそうと思うでしょ?」

陽の話に、引き込まれるように、皆が集まってくる。

「ふぅーん。じゃ食堂が怪しいと」

「この前、学園祭の準備中、夜食の保管で食堂の冷蔵庫に入れさせてもらうため、厨房に入らせてもらったんだけど、奥に何かありそうだったの。警備員さんがここから向こうには、入らないようにって番してるのよ。……だからあそこだと思うの」

陽が自信ありげに言うものだから、一層盛り上がった私たちは、まずあそこを探そうということになった。

「そうだね、でもちょっと疑問なんだけど、富貴学園はうちだけじゃないじゃない。あっち、貴檣高校にもお宝はあるの?」

今更だが疑問に思い、聞いてみる私であった。

「それがうちの学校は、創設者の娘を入学させるという、女学校という形を取ったので、創立が早いんだ。だから向こうにはないんじゃない。あそこの設立はその二年後くらいで、やはりグローバルな人の育成として、富檣高校が女学校だったから、男子校が設立されたわけよ」

 

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