【前回の記事を読む】トラブル続きの学園祭と人気者蓮の奮闘! そしてカラオケの夜に語られた学園に隠されたお宝とは?
第二章 学園の中で宝探し?
何が何だかわからないが、やたら知っている陽を狐に摘ままれたような感じで見ながら、
「どうして陽は、そんなに詳しいの?」
聞いてみた柚子に返ってきた答えは、想像だにし得なかったものだった。
「実は私。大学で九鬼水軍のことを調べていて。この学園に縁の物があるらしいと調べ……」
「待った待った! 何で大学が出てくるの? 九鬼水軍を調べるってどういうこと」
柚子は慌てて問いただす。
「柚子。みんなゴメン。私本当は大学生なの。富貴大学文人歴史学科二年で。九鬼水軍を調べているうちにこの学園が関係していることがわかったから、教授に頼んで短期の学園編入をさせてもらったの」
サラリと言われたことに度肝を抜かれ、誰一人言葉を発することができないでいる。
「その後は校内をそれとなく調べるうちに。学園祭という大きく動ける機会があったので進んで実行委員に申し込んだというわけです」
静かに話し終えた陽は、審判を仰ぐようにみんなを見つめている。
「ふぅーん。何と言っていいのか。あっそうだ! 変な時期の転校生だったよ。そして転校生なのにやたらとみんなと直ぐに話すようになって。情報集めていたというわけだ。でも何でも嫌がらずに動く態度は、好感が持てて。私は友情を感じていたというのに。ちょっと酷い!」
話しているうちに、感情が高ぶってきて最後は叫んでいた柚子。
「ごめん。柚子は行動力があって、決断も早く、うっかりすることもあるが、何より友達思いなので、みんながフォローしてくれる。そんな柚子が大好きになってこれからも友達でいたいと思っている。だから許して。そしてこの宝探しを手伝って」
すまなさそうに謝りながらも、強く言い切る陽であった。
「大学二年ってことは、三つ年上だ。お姉さん~てか」
悪乗りの颯太が言うと、蓮もひと言言うべきかと、絞り出すように。
「道理で、落ち着いた感じだったわけだ」