「そんなことはどうでも良いから。今は陽のことを信じて今まで通りでいるか、そして宝探しに協力するか。賛否を取りたいと思う。賛成の人は挙手して」
私は複雑な思いはあったが、事を進めるために、大きな声で促した。
「俺ら学園祭の準備で、短期間でずいぶん親しくなったと思う。陽の努力を惜しまない態度と、自らの知識をひけらかすことなく俺たちの意見を聞きながら導くとまではいかないが、指示サポートしてくれるなど。貢献度は高かった」
思い返すように、言い聞かせるように蓮が陽を見つめながら言うと、そうだよなとか、そうだったなとか、大和と颯太も動作を交えながら、頷き合っている。
「詩はどうなの? 手挙げてないけど」
「こんなに親しくなった陽だよ。そんなの当たり前のこと挙げるまでもないOKに決まっているでしょ。それより宝が本当にあるなら、私たちで見つけよ~」
叫ぶように詩が言う。
「それでは全員、陽のことを受け入れ、宝探しもやるということで」
思い入れが深かった私だけがちょっと傷ついた気持ちだったけど、みんなは直ぐに受け入れるのよね。私はまだまだお子ちゃまなのかなぁ。
「ありがとう。みんな」
感動したように言葉を切る陽だったが、私はまだ承服出来かねる気持ちが多くあった。でも仕方なく受け入れることにした。
「えーでは陽とは今まで通りということで。早速、宝探しの話に移ります!」
思わず大声を張り上げている柚子であった。
でもその時、廊下で聞き耳を立てている人がいるとは、誰も気が付かなかった。
思いがけない話を聞いて、自分たちの部屋に飛び込んできた伊藤杏奈、田中さくら、橋本碧は今聞いた宝探しの話を、集まっていた生徒会役員の面々に話したのだった。
陽は柚子に促され、話し始めた。