千恵は娘がゲームをしているところをずっと見ていた。そのうち、千恵も見ているだけでは飽きてしまい、

「私にもやらせて」

と言って、お気に入りの戦車のゲームに夢中になった。私もこれに没頭してしまった。休日になると、朝からずっとこのゲームをやり続けていた。千恵は、ゲームに夢中になり、夕飯を作るのを忘れたため、

「パパ、夕飯作るの忘れちゃったから、何かできあいの物を買ってきて。任せるよ」と言って、娘とゲームをしている。千恵と娘は呼吸が合うらしくペアでの対戦ではかなり上のレベルまで到達していた。娘と私のペアで対戦すると、

「パパが下手だから、直ぐにゲームオーバーになっちゃうんだよ、私と彩ちゃんがペアを組むとレベルがこんなに上がるよ」

と自慢していた。千恵はゲームをやっている間、とても楽しそうだ。私と娘がやっている時は、千恵は見ているだけなので、

「早く、やられちゃいなよ」

と言って、交代をせがんだ。ある休日の夜、いつものように千恵と娘がゲームで遊んでいる最中に、私がお風呂に入っていると、

「最高レベルを更新した。パパにも見せたかった」と風呂場の外から叫んでいる。よほど嬉しかったのだろう。私は湯舟につかりながら、昔好きだった歌謡曲の鼻歌を歌っていた。

次回更新は7月5日(土)、8時の予定です。

 

👉『千恵と僕の約束』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】ラインで噓をつく妻。「何かおかしい…」謎と疑問が疑惑に変わり妻の車にGPSを付けてみると…

【注目記事】失踪する3ヶ月前の交際2年目の記念日「9月29日」にプロポーズ。その翌日に婚約者が失踪…?