やはり男の目から見てもそうか、危うく引っかかるところだった。しかし、会う約束をしてしまったからには一回は会おう。彼がどんなオジサンになっているのかを確かめたかったのだから。

突然のメールから4日間、浮ついた気持ちになっていた。男友達が私に言った、「何かあるで、それ」という言葉が気になった。何があるというのだろう。

会う約束をした前日に彼から妙なメールが届いた。

「人命救助出来なかった。人工呼吸はしたのだけど、私には無理だったのかな。トラウマになるわ。明日、話聞いてね。」

何、このメールの内容、誰にどこで人命救助したのだろう。何があったのだろう、本当のことだろうか、夢なのか幻覚なのか……。

彼、脳の障害でもあるのかしら、何か嫌な予感がする。

「明日、話聞いてね。」って言ったところで変な話なら聞きたくないのが本音だ。

「そんな話は聞きたくない。」って言ったら、きっと彼は凹むだろうな。昔は神経が細やかだったし、末っ子の甘えん坊だったな。

ここは大人の対応と言うより、母親の対応だろうな。でも、相手は還暦を過ぎたオジサンなのだから、言葉遣いは丁寧に、他人行儀に振る舞うべし、と自分に言い聞かせ、あれやこれやと想いを巡らせているうちに時間は深夜を過ぎていた。

あと10時間程で運命の再会になるのか、と思うと心臓が飛び出しそうなくらいの動悸がする。自分で脈を取ると、不整脈が連発していた。自律神経の乱れは睡眠にも影響し、朝まで一睡も出来なかった。

 

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