「夜分にすみません、タカナシです。歳を取ると疑い深くなって、あなたが本当の相原さんか確認したくて、もしかしたら、新種のオレオレ詐欺かもしれないってね。最近は巧妙な手口も多いしね。」

私はあえて失礼な言い方をした。その反応を確認したかったからだ。

返信が来たのは一時間以上経ってからだった。

「なにわ朝日高校 クラブ活動振興委員長 初恋 初○ 茶道部茶室 これでどう? まだ疑う?(笑)」

……当たっている。

茶道部茶室って何だっただろう。

あっ、初○

これ、二人しか知らない秘密、

「相原徹也」本人だ。

私は思わず返信していた。

「今、電話しても大丈夫ですか?」

何を話したのか覚えていないが、彼の声は昔のままだった。

「電話、ありがとう。久々に聞いた声、嬉しかった。」

私も同じ気持ちだった。そして彼のペースに乗せられて会う約束をしてしまった。

やはり不安だ。別れた元カレが元カノに会いたくなる男の心理というのをネットで調べてみた。まぁ、さまざまな理由があるようだが、40年近く会わず、今になってどんな理由があるというのだろう。

私は高校時代からの長い付き合いの男友達に電話してみた。

「俺だったら、会わないなぁ、何かあるで、それ」