第一章 現代病の真実

なぜ日本の若者たちに元氣がないのか

当時、私が通信制高校で担任をしていた母子家庭の少年が、鑑別所に入所する事件が起きたのです。

母親から「先生、●●が三日前から××少年鑑別所に入っています。どうしたらいいのか分からなくて……先生に連絡するのが遅くなってしまいました。(嗚咽)」

私はいてもたってもいられなくなり、「お母さん、よく連絡してくださいました。私で良ければ力にならせてください。どうすれば、●●に会えますか?」

二週間後、面会のアポイントがとれ、離島にあった本校から車で三時間かけて会いにいきました。私はあることを決めていました。「だらだら説教はしない。本人の意思を引き出し、それを応援する私の思いを五分で伝えよう」。

面会室の扉が開くと、優しい目をした●●が鑑別所の教官二名と座っていました。私は五分間目を合わせ、短い言葉で本人と心を通わせることができました。何とも不思議な感覚でした。

この経験から、「子どもは荒れたくて荒れているのではない。問題行動の根源は、大人社会の歪みに対する声なき叫びなのだ」。

一方で親もまた、不景気による不安定な雇用、低所得労働、厳しい生活環境に追い込まれ、子どもとどう向きあったらいいのか悩んでいるのではないか。

私たちはこの問題に対して、どのようにアプローチしていけばいいのでしょうか。

そのヒントとなる茨城県警の調査報告を紹介します。