そのまま朝を迎えた。頭が痛い、気持ち悪い。俺はどうしたというんだ。全く記憶がない。
「南條さん、重いです」
「沙優」
俺は慌てて飛び起きた。
「すまない、俺は……」
記憶を辿るが全く覚えていない。
「お酒飲んだのですね。そのまま倒れ込んで眠ってしまったんです」
じゃ、なんで沙優の上に。この体勢は沙優を無理やり抱こうとしたのか。
「俺は酔った勢いで、沙優にいやな思いをさせたんだな」
「そ、そんなことはありません」
沙優は顔を真っ赤にして俯いた。
「彼女さんと喧嘩でもしたんですか」
「彼女」
「昨日も彼女さんと会っていたんですよね」
そうか、俺が帰りが遅いと彼女と会っていると思い、ベッドを空けておいてくれるのか。
「ここ最近、彼女とは会っていない」
「そうなんですか。じゃあ、お食事は一人でされているんですか」
「ああ、一人の方が気が楽だからな」
「じゃあ、私が作りますからおうちで召し上がっては如何ですか」
「俺との食事は嫌ではないか」
「私は南條さんと一緒に食べたいです。一人だと寂しくて」
「沙優」
「あ、その、寂しいというか、つまらないというか、え〜とっ……」
沙優はしどろもどろになり、答えが見つからず、戸惑っていた。
「それなら明日から一緒に食うか」
「えっ、本当ですか、私と一緒で大丈夫ですか」
「当たり前だ」
沙優は満面に笑みを見せた。次の日から夕食は沙優と食べることになった。