なお、私が院長を務めていた赤穂市民病院の外科からは国立大学医学部教授に2名、助教授2名、多くは病院長や外科部長になっている。間違った方向ではなかったと思っている。
医師の働き方改革は「過労で患者さんに迷惑をかけてはいけない」ということを根本としている。これには誰も異論はないのであろう。問題は研究心や向上心でやっている方々である。
上からの命令とは別の自己研鑽を労働と捉えて制限されてしまっては「角を矯めて牛を殺す」ことになってしまうのではとの危惧である。既に聖ルカ国際病院の初期研修医などは到達目標の到達期限に遅れを生じているとの発言も漏れ聞いた。
狭い耕地と乏しい資源のこの国が誇れる唯一の「勤勉性」に水を差すのは如何なものか、と後期高齢者は考え込み寝酒を過ごしてしまう昨今である。今の時代「おしん」の再放送を見て共感する人は飽食や物余り、ゆとり教育の世代の若者には少ないのだろうがASEANや南米、アフリカでは今も大人気というのは皮肉な話である。