冬晴れの2025年1月22日、株式会社幻冬舎本社ビルにて、特別企画「話題沸騰中のミステリー作家にインタビュー!」が開催されました。

今回お招きしたのは、ミステリー界に新風を巻き起こしている小説家、由野寿和(ゆうやとしお)さん。デビュー以来、その映像的な表現と、人の心の深淵を抉るようなストーリー展開で読者を魅了し続ける由野さんに、作家としてのルーツ、創作の秘密、そして今後の展望について、熱く語っていただきました。

【前編】では、由野さんが作家になるまでの道のり、ミステリーに惹かれた理由、そして作品を生み出すためのこだわりに迫ります。

由野さんはこれまでに、2作のミステリー小説を刊行されています。まだ読んだことがないという方のために、まずは各作品を簡単にご紹介します。

◆『再愛なる聖槍』(1作目)

遊園地で発生した観覧車ジャック事件を軸に、元刑事と周囲の人々との複雑な人間関係が描かれています。物語が進行するにつれて事件の真相が明らかになっていく、スリリングな展開が見どころです。  
 

 

◆『アイアムハウス』(2作目)

舞台は十燈荘という高級住宅街。猟奇的な殺人事件を「死神」と呼ばれる刑事が事件解決に向けて捜査をしていくストーリー。土地に隠された謎や、人々の複雑な心理や関係性が焦点となっています。
 

 

今回、ゴールドライフオンライン読者のために、『アイアムハウス』に続く序章『約束のアンブレラ』を書き下ろしてくださいました。この独占インタビューではその執筆秘話や、作家を目指す方への熱いメッセージなど、たっぷりと語っていただいています。

それでは、内容盛り沢山で魅力溢れるインタビューの模様を【前編】としてお届けします。どうぞお楽しみください。

映像の世界から物語の創造へ

――小説家の由野寿和さんに来ていただいております。本日はよろしくお願いします。

はい、よろしくお願いします。

――1990年福岡県生まれで、高校卒業後にアメリカに単身で行かれたとのことですが、まずは、アメリカで映像を学ばれた経緯についてお聞かせください。

小さい頃から映画が好きで、父の影響でハリウッド映画をよく見ていました。映像の世界で働きたいという気持ちがずっとあり、大学ではアニメーションやグラフィックを専攻しました。

――大学を卒業された後、日本に戻られたのですか。

卒業後は、アニメーションスタジオでディレクターとして4年ほど勤務し、2018年頃に日本に帰国しました。現在は働きながら、執筆活動をしています。

――映像の世界から、小説の世界へと足を踏み入れたきっかけは何だったのでしょうか。

もともと「物語」が好きで、父の影響で「映画」を幼少期からよく見ていました。その延長で映像制作に携わりたいと思っていましたが、文章で物語を具現化する創作活動自体は、小学生の頃から趣味で続けていました。高校生の頃には、漫画を描いたりもしていましたね。

――読者の方からは「映像が浮かびやすい」「画面が浮かぶ」という感想がよく寄せられます。それは映像を学んだ経験が活きているのでしょうか。

それは大きいかもしれません。「こういう感じかな」と映像的なイメージを抱きながら物語を作っています。映像化を視野に入れた物語作りは、僕のスタイルの特徴かもしれません。

――視点を登場人物から、ニュース報道のような客観的なものへと切り替える表現も印象的です。これは意識されているのでしょうか。

意識はしていますね。ただ、僕は大量の本を読むわけでもなく、分析家というわけでもないんです。様々なコンテンツからインスピレーションを得て物語を組み立てている、という部分が大きいと思います。