「どうした?」

「僕の宝物がいる!」

「えッ、ゆりさんが!」

「孫達といる。優しい顔しているな~」

「あァ!」と近藤が急に席を立った。

「どうした!」

「彼女、知っているよ」

「はぁ~あ、何で!」と驚いた。

「今井、覚えているか? 五か月前にあるカフェで素敵な女性がいて思わず声をかけた話」

「おお~覚えているよ」

「そう、ゆりさんだ。顔も見ないで。即、ふられた。本を楽しんでいるのです。声をかけないで! みたいな感じだった。僕はしばらくショックだった。女性に拒否されたの、初めてだったからな」

「そうだったのか。あの頃は男性嫌いが強い時だったから、僕も最初は拒否からスタートだったなぁ」

「今井の誠意が伝わったのだな。良かったな」

  

【前回記事を読む】「左の薬指も君のすべてを僕の物にしたい」新しい恋人から結婚指輪としてダイヤの指輪とペアリングを贈られる。

次回更新は1月1日(水)、21時の予定です。

  

【イチオシ記事】遂に夫の浮気相手から返答が… 悪いのは夫、その思いが確信へ変わる

【注目記事】静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた