人生の晩期に適した住まいとは
その継続性の断絶を少しでも和らげるためには、高齢者の住まう理想的な住環境はその所在地から考えるべきです。スウェーデンでは障害者(老いれば人はみな障害者になる)も健常者と同様に普通の暮らしができるよう(ノーマライゼーションといいます)支援しています。
その考え方は街作りに生かされており、ストックホルム郊外の街の大きなショッピングモールには全て車椅子の通路がありました。
そして、その中心には生活に必須な手続きを行うために欠かせない市役所派出所があり、さらにそのショッピングモールの周辺には健常者が住まう住宅街が広がり、その一角に高齢者施設が点在していました。そして街の歩道も段差をなくした車椅子用通路が確保されています。
つまり、この街に後期高齢者が住めば、車椅子や歩行器を使いながら、ショッピングモールへ行き、買い物や各種の公的手続きを済ませることができます。さらに重要なことは健常者と同じ空間に住まい続けることで、社会との断絶がなくなります。
建築コストが安いからといって街から遠く外れたところに高齢者だけを住まわせる施設って、自分が住むとすれば寂しく感じませんか?
人間は社会や人との繋がりなしでは生きがいも役割も、選択の楽しみも失われてしまいます。日本では、このような思想で街作りを行うのはこれからだと思います。特に地方では、このようなコンパクトシティを作らざるを得ないのではないでしょうか。
このような学習から、私は理想のグループホームを建てるにあたり、社会から隔絶されぬよう、市街地の中にあり、買い物に行けること。そうはいっても交通量の多いところに面していないこと。自然環境がそばにあること。広い庭を持つこと。
これらが、理想のグループホームを作る上で、重要なんだ、これらの条件に合致する土地選びが重要だと母に伝えました。
これは、いい庭を潰してまで二つ目のグループホームを建てたことに対する批判も込めていました。