「お前は痛風かー。俺は近近白内障の手術が待っている。タイミングを見てする心算だ」と里村が告げると、須崎が薄ら笑いを浮かべて「俺達の歳になると、飲み会の話題が否応なく親の介護と自身の持病の話になると言っていたが全くその通りだな。これに何時までも結婚しない子どもの話をしたなら正に三重苦だ。笑うに笑えない」と言った。
里村はちょっと心配そうな顔をして「うちの娘、今年で三〇歳になるんだが、母親の姿を見てきたせいなのか、結婚したなら専業主婦になるんだと言っているんだが、今時はかみさんを専業主婦にできる男が激減してしまったらしく、そんな相手が見つからないとかいって未だに独身なんだ。
幸い家内の両親は二人とも他界しているんだが、俺は自身の白内障と両親の介護と結婚してくれない娘とで三重苦に喘いでいるよ」と冗談交じりに言ってきた。
すると須崎が「専業主婦か。確かに俺達世代が結婚した頃は圧倒的に専業主婦が多かったけれど、つい最近のデータだと、今は共働き世帯の方が多いというから、確かに専業主婦狙いだと相手にそれだけの収入がないと無理かもな」と言った。
「そうなんだ。勢い銀行員とか公務員、医者、弁護士等競争相手の多い職種に限られるので振られまくっているみたいだ」と里村が困り果てた顔をした。
「刑務官でもよければ見合い相手世話するぞ、俺が……」と須崎が言った。
「おっ、そう言ってもらえるとありがたい。俺の顔で自衛官を世話しようとしたら、断りづらくなると困るから父親の口利きは嫌だと生意気な事言っててな。正直手を焼いていたんだ。でも娘と見合いする前に俺に先に合わせてもらえるよな」と里村が言い出し、「えっ、お前そんな親ばかだったのか?」と須崎が咄嗟に言い返した。
「……そんな事言ったって、一人娘なんだぞ。親友ならそれくらい協力しろよ」と言った里村に「分かった、娘さんが縁遠いのはお前のせいだ!」と須崎が言い放った。
すると里村が「お前のところはどうなんだ?」と須崎に向かって言った。
「うちの子どもは二人ともすでに片付いた。上の娘は自衛官と結婚し、下の娘は高校の時の同級生と暫く同棲した後、入籍した。上の娘は自衛官と結婚し、下の娘は高校の時の同級生と暫く同棲した後、入籍した。二人で働いて金を貯めてから結婚式を挙げると言っている。その時は俺と家内をご招待してくれるそうだ、ハワイへ……」と二人の娘が既に嫁いだ事を明かした。
【前回の記事を読む】「奨学金を短期間に返済するため任期制の自衛官に応募する若者が増加。自衛隊の任期制と期間工を交互にやっているという兵も!?
次回更新は11月24日(日)、8時の予定です。