第一章 再現美容師の仕事

~資格取得者が少ない再現美容師 キャンサーギフト Cancer gift がんがくれた贈りもの~

 
 

研ぎ澄まされたサロンワーク

先日、ご来店されたM様、かれこれ8年ほどご来店されています。

振り返ること8年前。脱毛症を患い、部分ウィッグを既に頭部に装着済み。

「フルウィッグを手で触り、一度被ってみたい」

そして、脱毛している髪の毛をカットしてもらいたいとのご希望だった。

リアンには、2席のセット面がある。横並びではなく、前後。その距離間は、約2メートル、顧客の状況により、席を決めるわたし。

この時は、もちろんカーテンのある外から覗いても死角になる所。ひとに知られたくない方は、サロンの駐車場には車を停めない。

それ程、髪の毛という大切な部分、ひとには見せたくない部分を知るのは、そのリスクを負った顧客とわたしだけの秘密。

そのデリケートな部分に触れて、鏡を通して、その方のご希望により近づけるというテクニックの技……これが、美容師と再現美容師の狭間だと感じている。

この時に、一番大切にしている事は、この方が何を気にされて何を求めているのか先ずはその二択。その時のわたしの立ち位置は、ほぼ左側のやや後方。カウンセリングをしながら、髪の毛に触れる時は、その方の中心に立って、コーム(くし)を取る。触れてコームを髪の毛に通してとかしてみる。

 

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