「どうしたらって、警察の人に聞くしかないんじゃない? どうせそのうち、君は話を聞かれると思うし」

「えっ、どうして?」

「そりゃ、君、さっき警察の人に、『これは観覧車ジャックで犯人がいる』って言っちゃったんだろ? 当然、事情聴取があるでしょ。もし根拠がない情報をSNSとかでバラ撒かれたら捜査妨害になりかねないし。その犯人の声の話も仲山って人だけが言ってるなら、警察も半信半疑だと思う」

「そうですよね、他の乗客の方々からも話を聞きたかったんですけど、あのあと、停電でドリームアイ内部との通話は全部使えなくなっちゃって」

「まあそれは、サブの運営局から警察が連絡してみるんじゃないの? 僕らじゃもうお手上げだ。警察に任せるしかないよ」

「ですよね……ああ、でも、宮内さんとお話しできてよかったです。凄く不安だったので、少し落ち着きました」

「ならよかった。僕もちょっと、頭の中が整理できたよ」

「ありがとうございます。あの……最後に、ちょっとだけ。もし仮に犯人がいるとしたら、宮内さん、心当たりはありませんか? たとえばシステム運用部の中に怪しい人がいるとか」

「犯人? この落下事故の? いやいや滝口さん、探偵とかに憧れたりしてる?」

「そんなことじゃなくて、皆さんを助けられればって……」

「システム部に怪しい人間なんていないし、そもそも不可能なんだって。たとえうちじゃなくて廃れた遊園地の旧式観覧車でも無理だよ。コンピューターを乗っ取ってゴンドラを落とすなんて、人為的にそんなことはできっこない」

「そうなんですか?」