Chapter2. 人生が変わってしまった事故

自分で食べられるようになった喜び

事故後、意識が戻って少し経った頃に、氷なら食べていいと許可が下りて初めて氷を口にした瞬間、あまりの美味しさに感激しました。それから何度か看護師さんに「氷ください」とお願いしていたら「今日はもうダメだよ」と言われたこともあったほど、ただの氷に感動した出来事は今でも忘れられません。 

おそらく気道熱傷もしていたので、喉がカラカラだったんだと思います。

食事ができるようになって病院食でおにぎりやパンが出てきた時、手に持ってかぶりつきたいのに、おにぎりやパンでさえも自分で持って食べることができませんでした。今まで普通にできていたことができないのかと思うと、一気に虚しくなってきました。

今でもおにぎりやパンを持って食べるのは難しいので、フォークで小さくちぎって食べていますが、いつか昔のようにまた手に持って思いっきりかぶりついて食べられる日が来ることを信じています。

事故から2カ月が経った3月中旬に一般病棟に移ることができました。食事もずっと誰かに食べさせてもらうわけにはいきません。いつまでも甘えていられないと思うようになると自分で好きなように食べたくなったので、作業療法士の先生に自分で持てるフォークの自助具を作ってもらいました。練習をしたらすぐに使いこなせるようになって、自分での食事もクリアすることができました。些細な事ですが、自分のリズムで食べれるようになったことが凄く嬉しくって、看護師さんとも一緒に喜びを分かち合いました。

病院食をずっと食べていると、無性にジャンクフードが食べたくなることがありました。家族が面会に来てくれた時にハンバーガーショップのポテトやお菓子を差し入れしてもらってたまに食べたことは今では懐かしく、当時の唯一の楽しみでした。