俳句・短歌 句集 四季 2020.08.10 句集「抱く」より三句 句集 抱く 【第2回】 松永 みよこ ―春― 身に余るミモザ抱えて人を待つ 猫の恋吾よりいくばくかは清く ―夏― 膝頭抱いて鎮まぬ青嵐 幸せを温めなおす五月かな ―秋― 千の菊抱きてあまりにも一人 りりりるり鈴虫まねてけんか終ゆ ―冬― 雪うさぎ今消えゆきし身を抱き 酉の市ちがう男の手も温し 平成の句姫、みよこの初句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 夜の桜今残像となりし君 踏青や奥手な姉が恋歌う 反り返る生意気大事アスパラガス
小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『普通の男、浩狙われる!』 【第5回】 上山 照 男が狙う鍵付きブリーフケース…中を開けると百ドル札がびっしり入った封筒が!? チェーンで繋ぐくらいだから、確かにそれくらいは当然している筈だ! そう思うと、間違いなく当たっている気がして、やはりこのブリーフケースを開ける事が重要に思えてきた。早速、ツインロックの回転ダイヤルの一つを固定して始めることにして、今のツインロックが5と8を示していることからその前後の可能性が高いのでは、と考え、5の番号ダイヤルを3に固定してもう一方の回転ダイヤルを1から順番に回して上手く解錠する…