第二章 “第2次所得倍増計画”の実施
(5)農業改革(遊休農地、耕作放棄地の管理改革)
次は、農業と民間資本のマッチングについてである。まず農地を有効に活用するために農地の管理が必要であろう。
それも行政が管理せねばならないのは再生利用が可能な遊休農地や耕作放棄地、そしていずれそのようになってしまうことが想定される農地についてである。さらには所有者が貸すことを希望する農地も加わる。これらの農地については今後激増していくに違いない。
放っておけば食料自給率は激減するであろうし、農地は荒廃し国土の保全という点においても極めて危険である。従って管理が必要であるし、管理するからには国や県そして市町村という行政がきちんと行っていかねばならない。
確かに現在においては農地中間管理機構という組織の中で各都道府県に農地を管理する団体を設置している。これらは農業従事者間を仲介することを目的とした団体なのであるが、都道府県によってさまざまであって予算的に見て数億から100億程度の組織であり中途半端極まりないものである。農林水産省が責任を持って有効活用が可能な農地の管理をせねばならない。そしてそれは農業従事者間の仲介では駄目なのである。
大小の民間企業との仲介を目的にした大がかりな団体でないと今後の農業改革に向けた基盤を作っていく組織にはなり得ないのだ。そこをしっかりと理解をして農水省や都道府県、市町村は改革を断行していかねばならない。
先にも述べたが、今後は民間資本をいかに導入していくかということが鍵になるわけだから、農業従事者やJA(農業協同組合)をはじめとした各種農業団体や行政、そして大企業から中小企業に至る民間企業とのコーディネートが必要になってくるのである。言うに及ばず、それらの障害になるような法律があるのであれば、先んじて法を修正しておく必要があり、速やかなる対応が必要である。
それと共に、民間資本の導入といっても農業が儲からないと民間企業も投資はしないので利益を生む農業というものを作っていかねばならない。ICT(情報通信技術)をはじめロボットなどの開発によって生産性を向上させて、資本の投入に見合った利潤を生む体制を作っていかねばならない。
繰り返すが、現在の農業を取り巻く状況は農業従事者は減少を続け、十分な後継者もいるわけではない。再生利用が可能な遊休農地や耕作放棄地は増える一方だ。そのような状況の中で食料自給率を上げ、農地や林地を維持し国土の保全を図っていくにはやはり民間資本の導入により農業を経営していくほかはないと思う。
これらによる農業の改革が必要なのである。