妻に障害があることは受け止めているつもりでも、ずっとソファに座っているだけの姿を見ていると、ついつい傷つける言葉を投げかけてしまいます。私にも気を使ってくれたっていいだろう、何か手伝ってくれてもいいだろうと感情が乱れます。

ただ座っていることが、どれほど苦痛なのか想像できているつもりです。それでもそれを超えて、怒りが溢れ出てくることがあります。そんなことが何度もありました。

妻の独り言は、私に人として夫として未熟さを突きつける出来事でした。あの時から妻を悲しませてしまうことが、なくなったとは決して言えません。これからも私は心の弱さや貧しさを何度も何度も思い知りながら、日々を過ごしていくのかもしれません。

気がつくと何とも情けない年老いた男が、キッチンの窓を振り向きながらうろうろしていました。

試行錯誤しながら生活を見つめて

 

妻との距離感が良く分からず過度に手助けしてしまったり、その反動で極端に不親切になったりと夫婦関係が不安定なことが続きました。

妻もリハビリの効果があって、体が少しずつ動くようになってきました。洗濯物を干したり取り込んだり、料理やその後片付けをしてくることが増えてきました。

少し前のことに戻りますが、前の居住地では妻の障害者認定を取ったあたりから、医療としてのリハビリは打ち切りになりました。そのことについて社会福祉事務所から、『障害の状態が固定したので、今後は医療ではなく福祉の対象になる』という説明がありました。

65歳未満でも介護認定を受けることができる特定疾患に、脊髄梗塞は含まれていません。介護認定の年齢はもう少し先だったので、障害者福祉で利用可能なリハビリの施設を探しました。しかし、本人の希望するような内容ではありませんでした。