一戸建ても子育て中はありがたかったのですが、子どもたちも独立してしまうと持て余し気味でした。シンプルな生活への憧れもあり5室のアパートを建てその一室をメゾネットタイプにして、そこで暮らしていました。

まさか妻が車椅子生活になることまでは見通せません。車椅子の生活を想像し始めると、生活の不便さのほうが目立ってきました。

私たちは子育て中から、老後は二人で気に入ったところで暮らしたいとずっと話していて、それなりに準備はしていました。それもあって、この機会に実現できたらいいという考えもありました。

理学療法士や作業療法士も、当時の自宅の状況を私が撮った写真で検討し、また実際に訪問し親身にアドバイスしてくれました。「改築しても暮らせないことはないけど、バリアフリーの家がかなうなら生活の質はずっと良くなります」

確かにそうですが、改築費や新築費を用意できるかという問題がありました。自己所有とはいえアパートなので、実際に改築が難しかったこともあります。私たちにはちょっと贅沢でしたが、それならいっそ新築を考えてみようということになりました。方向が決まったので次は実際にどうするかです。

土地を探して新築できるかどうか検討しました。

最初は退院後のリハビリ通院もあり、やはり住み慣れた名古屋周辺を考えましたが土地代が問題でした。年齢を考えるとこの先、高額の住宅ローンを組むことはありえません。病院の近くも当たってみましたが、それでもまだ坪単価に手が届きません。

そんな時、土地が買えるところへ移住するという選択肢があることに気づきました。これまでにも単純な移住への憧れがずっとあって、長野県や山梨県に足を運んだことを思い出しました。移住の可能性について二人で話し合っている時、妻が何気なく駒ケ根という地名を口にしました。

それが、その先の方向を決めていくことになりました。駒ケ根市のホームページで調べると、移住相談会が定期的に開かれています。近日中にもあると知り、早速連絡して現地に出かけました。