第一章 嫁姑奮戦記

「自分が一番偉いと思っていたおばあちゃんが、そうかいなと思っただけでもいいと思うけど」と言うと、「うちは強い人間やと思ってた。弱かったら生きていかれへんやろ。自分の思う通りにやってきた。人の言うこと聞いてたらつまらん生活せなあかんやろ。そやから頑張ったんや」

「頑張ったのは分かるけど、助けてくれる人が周りに居たから頑張れたんと違うの」

「誰が助けてくれるんな。そんなもん居らへんかった」

「そやけど、おばあちゃんのお母さんが家の用事をしてくれたんと違うの。おばあちゃんが皆やったんか」

「そら、家のことは皆やってくれたけど」

「それごらん。何もかも一人でやってると思ってても誰かが助けてくれてるんよ」

「そやけど、神さんや仏さんは何をしてくれたんや」

「そら目には見えへんけど、色々助けてもらってると思うよ。私はおばあちゃんと違って弱い人間やから、神仏や人に助けを求めるほうやわ。聖書に『全て重荷を背負っている人よ私の元に来なさい。楽にしてあげます』という言葉があるけど、人間は弱いもんやと私は思う」と言う。

そんな話をしているうちに夜も白々と明け、姑はいつの間にか眠っている。私も横になるが寝つけず、またもや徹夜してしまった。

当日は意外と平静であった。妄想がなくなって良かった。入浴させて午前中に帰宅する。

「やっぱり家はいいわあ」と本当に嬉しそうだ。全く以前と変わりない。ただ脚が不自由で畳に座れないくらいのものだ。ベッドがまだ届いていないのでテーブルと椅子で過ごしてもらう。夜は私が横に寝たものの、介助するのは布団から起き上がる時と、トイレに連れて行くくらいで、病院での生活からは考えられない平穏な外泊であった。