四 アメリカ第二の故郷
あるとき、日本から持ってきたゴダイゴの曲「ビューティフルネーム」の英語の歌詞が聞き取れなくて、何て歌っているのか訊いてみた。メリアンは三十分ほど繰り返しテープを再生したものの、
「ごめんなさい、わからないわ。」
と言った。
また、あるとき、留学生のフーリエが、ある悩みを打ち明けていた。友だち関係で上手くいっていないらしかった。ジョンとメリアンは、その件に関して何日も話し合って、いろいろな人に相談をしていたようだった。
みんなで一台の車に乗ってコンコードの街にいる友人宅に行ったときも、その友人にフーリエのことを話していたことを聞いたことがある。その友人宅の子どもは自閉症で、学校へは行っておらず、家で勉強しているという話を聞いた。
互いの話をとことん言い合って、何かできることがあれば手を差し伸べるという会話が二時間続いた。
夜、裏庭に手作りのブランコがあり、そこでよく素振りをした。たまたまバットがあったのだ。そして、なんとも明るい月が裏庭を照らしたのだ。その明るい月を見ながら、
「ジョンやメリアンの生き方っていいなぁ。」
と思ったりもした。
メリアンは、フォーエイチ(4H)というボランティア活動に参加している。彼女の影響を受けて、アメリカのボランティア活動について調べたことがあった。
「アメリカではたいていの人が一度や二度はボランティアをした経験を持つ。」
と言われている。毎日、何百万という人々が、ボランティア活動を通じて自分の時間と能力を地域社会の利益のために惜しみなく提供している。ボランティア活動はアメリカ国内に広く浸透していて、生活のほぼすべての面で日常的に見受けられる。
政府統計によると、米国では通常一年間に、国民の約五分の一に当たる六千二百万人以上がボランティア活動に従事する。アメリカのボランティア活動の根は深く、広範に及んでいる。アメリカ人は、植民地時代から団結して互いに助け合ってきた。新大陸で植民地を開拓した人々にとって、最優先事項は「みんなが同じ」こと、そして、「みんなが生き残る」ことだった。