ハーフマラソン地点を通り過ぎても、ランナーの数は減らない。ウィーンマラソンでは、フルマラソンのランナーがマジョリティみたいだ。あと面白いのが4人でフルマラソンを完走するチームリレーみたいなのもあって、これだと若い人とかファミリーがみんなで参加できるし楽しそう。
実際参加しているグループの人、みんなめちゃくちゃ盛り上がってたし、早くしろ! って叫んでたりする人もいて、なんだか面白かった。
25kmを過ぎると、またプラーター公園に戻ってくる。2km地点でも出会ったDJが、さっきとは違うEDMをかけていた。2kmの時よりもランナーの元気はないけど、沿道の人がDJブースの横でノリノリで踊ってて、こっちも元気になる。
ここからのコースは、フルマラソンの世界記録保持者のキプチョゲが、NIKEのチャレンジでフルマラソンを2時間切ったコースの一部で、所々にその当時の写真が垂らされていた。陸上ファンにしたら堪らないコースなんだろうな。
公園内は街中に比べると数段静かになるのだけれども、ところどころに多分自宅から持ってきてくれたコンポで音楽をかけてくれる人が沿道にいる。音楽に不足はない。ちなみに街中にも自分のコンポ持ってきて応援してくれてる人がめっちゃいた。しかもコンポの大きさが、全部でかい。
公園を過ぎるとゴールはもうすぐ。ずっと曇りだった空模様の伱間から、スカイブルーが覗くようになって、日差しが眩しくなった。バルーントンネルがいくつか用意されていて、チアダンスを踊るガールズの横を通り抜けると、ゴールまでは一直線だった。
わたしがゴールするときに流れていた曲は、Feel the Rush。アップテンポな曲で、勝手に身体が揺れてしまう。レース中にずっと動画を撮っていたGoProを観客の方へ向けると、ノリノリで踊ってくれる女の子、手を振ってくれる若い集団、すでに完走してコースに座りながら手を揺らすランナーたちが、その中に映っていた。
残りの200mで、走馬灯みたいに今までのことを思い出した。走れないことが本当に悔しかった夜、メールを読んで携帯を握りしめた帰り道、ウィーンの空港に降り立った朝、ゼッケンを受け取った展示場、スタートモニターに映るランナー、沿道の人のハイタッチ、流れる音楽。
本当に、このマラソンを走れてよかった。待っていてくれてありがとう、ウィーンマラソン。
ゴールラインを踏んで見上げた空はスカイブルー、その濃いはず青が滲んで、少し白んだ視界にメダルがぼやけて映った。
【前回の記事を読む】念願叶って、ようやくウィーンマラソンに参加。熱くなった目頭をぎゅっと手で押しこんで、スタートラインへ…
本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。