第六条 「手塩にかける」
「あきらめグセ」は低学力に結びつく
「あきらめグセ」は小学校に入ると、学習に身が入らない、少しむずかしいとすぐあきらめて食いつかないという傾向をもたらす。
しかしながら、母親が働いていて一才前から子供を保育所などに預けている子の全てが、低学力や不登校になる訳ではないとは言える。
もともとの能力が非常に高い子なら、どんなに勉強をしなくても普通の子としてやっていける。(中学二年生位から、低学力になだれ込む可能性が高いが、生れつきの高能力が問題を隠す場合もある)
又、勝ちグセの子―ゼロ才、一才位からの遊びの中で、いつも、オモチャの取り合いで勝っていた子―は、勝ち負けに敏感で「勝って当然」「勝っていたい」という気持ちが強い。
その気持ちが勉強に向けられると勉強をするので親が満足できる成績をとることもある。
しかし、思ったような成績がとれないと「教え方が悪い」とか、周囲のせいにする傾向が強いのだ。勝ちグセの子は「自分は良い」「勝たないのがおかしい」と、あたかも、本能のように思ってしまうからである。「勝ちグセ」の子は、自分勝手なので、やりたくなくなると勉強をしなくなる。そして、行きたくなければ学校に行かなくなる。
どちらにしても、母親が働いていて昼間に家にいないなら、自分勝手に暮らせる家の方が、せめぎ合いの強い学校よりも楽な場所なのだ。学業に関心が弱ければ、なおの事、学校への足は遠のく。
そこで、私はC子さんのお母さんに、仕事を止めて家に居るように進言した。幼い時に手塩にかけなかった分を、まだ、なんとかやり直せる年齢だからである。しかし、彼女は仕事を止めなかった。
C子さんは小五なので「今なら、なんとかなるかもしれないから……」と、私が、どんなに言っても、その深さが分からなかったのである。
小五になってからのC子さんは、学校の成績も極端に底辺ということもなくなり、私のところには、いやがらずに休まず通って来ていた。塾内で友達(話をする子)もできた。親は、「子供が変わった」「良くなった」「成長した」と、思うのだろう。