第一章 クルマを運転するときの心構え

クルマを運転するときは……

クルマを運転する前に意識的に「ほっ」とできる時間をつくることは、自分を守るだけでなく、周りの人を守るためにも、とても大切なことです。

「今なら行ける」は事故のもと

クルマで右折や左折をしようとしているときや、信号のない道路を横断しようとしたとき、目測で対向車や歩行者との距離を測って、「あ、チャンスだ。今なら行ける」とクルマを走らせたことのある人は少なくないでしょう。

しかし、自分の判断を過信するのは考えものです。こうした考えが事故の元になるからです。

 

急いでいるときもあるでしょうし、性格的にせっかちな人もいるでしょう。これまで「今なら行ける」で事故を起こしたことがない人は、「これぐらいの距離があれば大丈夫」と、まるで何かのチャレンジをしているように、より厳しいタイミングで曲がったり、道路を横断しようとクルマを走らせる傾向にあります。

しかし、これまで事故を起こさなかったからといって、この先事故を起こさない保証はどこにあるのでしょうか。

もしあなたが事故を起こせば、ご自身の家族はもとより、事故の被害に遭った相手の家族の人生までも大きく変えてしまいます。事故を起こしてからでは遅いのです。一度でも事故を起こせば、人生が大きく変わってしまうことに、もっと目を向けるべきです。

「今なら行ける」ではなく、「今でも安全に行ける」で運転するぐらい慎重にならなければいけません。

急いで運転しても疲れるだけ

これは私自身の経験です。

あるとき、羽田空港で乗せたお客様がこう言いました。

「千葉の四街道までできるだけ急いで行って!」

羽田空港から四街道までは約60kmもあります。私は高速道路を使ってできるだけ急いでクルマを走らせました。後部座席に座るお客様の急いでいる様子を背中に感じながら、私はプレッシャーを感じていました。そして、なんとか40分ほどで目的地にお客様をお届けすることができました。

プレッシャーから解放された私はドッと疲れてしまったので、都内へ戻る道中は慌てることなく、鼻歌交じりでゆっくり運転しました。

都内に戻り、ふと時計に目をやって私は驚きました。