会社を興すならこの四つの法則に従え
酒井社長のお話を聞いているうちに、私の商売に対する認識はだんだん変化していきました。
「商売はお金だけではなく、経営もただ儲けることではなく、ある意味では哲学に深く関わっている。社長は哲学者でもある」
そうわかって商売しようと考えました。酒井社長は私の商売の「啓蒙師」だと言えます。そこで、酒井社長は「会社を興すなら、下記の法則にしたがって。これを必ず覚えて」と言われました。
⃝ 陰陽法則
人類の法則でも経済の法則でも太陽の運行と同じで、常に変化しています。昼が過ぎて必ず夜が来るように、良いことがあったとき、絶対悪いときも来るから、たまに台風も大雨もある。会社も悪いことも良いこともあるから、良いときにしっかり貯金して、大変なときが来る前に常に心得て備えてほしいこと。
⃝適者生存
世の中は安定しているように見えますが、実は常に変化しています。緩やかな変化の途中で急激に変化するから、それに備えるために常に情報を収集・勉強・分析して、自分のため、そして会社のために適切な対策を取らなければなりません。慢心すると、必ず被害を受けることとなること。
⃝因果応報
人間としても会社としても悪いことを絶対しないこと。良いことをしたら、必ず良いことは来る。正直で素直に仕入先やお客様と付き合って、良い物を売ったら、必ず会社を続けられるし、しっかり経営を維持できるということ。
⃝根・鈍・運
世の中は常に変化しているので、経営者として、経済動向を見つめて会社を運営するのは当たり前ですが、必ずしも成功するとは言えません。やはり一つの事業を根気よくずっとやることは大事です(根気)。
そして、著名人の言葉や有名な経済雑誌の解説等に左右されることなく、自分の得意分野をやることは何より必要です(鈍気)。そして、最後には成功するかもしれませんが、もし失敗しても、少しでも悪いことを思わず、続けて努力する。つまり、人事を尽くして天命を待つこと(運気)。
轟産業社は大きく、社員を成長させるために、本社の社員に訓示したりされましたが、全国各地で仕事をしている支社の幹部や社員に対して酒井社長は新聞や本を読んで啓発になる部分にコメントを書いて、ファックスして読ませていました。
また日本経済新聞 「私の履歴書」という連載の有名な企業家や政治家等をコピーして綴って、幹部や社員たちに配りました。私もその中のわずかな一部をいただきました。
【前回の記事を読む】96歳まで日本最高齢の現役社長として活躍した酒井社長。影響を受け創業を決意!?
次回更新は3月24日(日)、12時の予定です。