『 ……夕食の時、また親に言われてしまった。最近のぼくはおかしい、と。
今日は土曜だから昼ごろに起きてくるのはいいとしても、基本起きてくるのは遅いし、休みの日も友達と遊ぶでもなく閉じこもりがちだし、学校がうまくいってないのかい?と。本当のことを言っても仕方ないから、そんなことないよ、と答えた。実際はうまくいっていないというより、どうでもいい。
今日は土曜だから堂々と休んでいるけれど、実はその前から大学にはろくに行っていない。行ってくるふりをして、その辺をぶらぶらして帰ってくることもある。八月になれば夏休みとなり、ぼくの自ダラク生活にもハクシャがかかるだろう。なにも知らない母は、じゃあ遅くまで起きてなにやってんの?と更に突っ込んでくるので、本読んでるだけだよ、読書してなにが悪いんだよ?とぼく。
「なんの本?」
「なんだっていいだろ」
「どうせなら将来に役立つもの読みなさいよ」
「知るかよ、将来のことなんて」
「もう近い将来でしょうに、なにかやりたいこととかないんかい?」
「知らねーよ」
「まったく何考えてんだか、圭一は!」
こういう不毛の会話が嫌になり、まだ途中だったけれど、ぼくは飯をよして部屋に戻ってしまった。
部屋に戻ったぼくは、怒りに燃えて枕を殴りつけた。じゃあ本当のこと言ったらちゃんと答えてくれるのかよ? オレはいったい何のために生きてるんだ? オレのこのクソみたいな人生はなんのためにあるのか? あんたらに答えられるか? オレは誰も困らせたくないから、答えを探して一人で苦しんでんだよ!
そう心の中で叫びながら、何度も枕を殴った…… 』