自分らしい生き方で主観的幸福度が上昇。自己実現の可能性は、人生の後半にある

中年期の危機

人生の午前に持っていた意識を転換する

40歳になる頃には、人生の午前に持っていた意識を転換する必要があるのではないでしょうか。

心理学者ユングは、図1のように人生を一日の太陽の動きにならって、水平線から昇り、軌道を描く太陽の動きにたとえました。

 

ライフサイクルには、成人期から中年期への転換期があります。ユングは、この時期を人生の午前から人生の午後への転換期と考えました。中年期には、人生の午前に持っていた意識を転換する必要があるということです。

人生の午後には、中年期に見合う働き方・暮らし方を見いだすために、組織の中で活動するために排除してきたものを見つめ直します。自分らしい自分を取り戻して、素の自分に戻ろうとする過程をたどることから、本来の素の自分が得意とする分野に気づきます。

個人としての自分を取り戻して、素の自分に戻ることから、真の個性化は人生の午後に始まります。

図1の正午に向かって、ぐんぐん光の強さを増していく午前の太陽と、午後の太陽とでは存在は同じでも、輝きは異なったものに見えます。ユングは、人生も午前と午後では、意味が違うのだといっています。

真の個性化が始まる前に、これまでたどってきた人生行路がずっと続くわけではないと気づき、不安や焦りを感じる40歳ぐらいからの過渡期があります。過渡期には、次の精神的な発達段階に進むために、これまで抱いていた価値意識や、人生の優先順位を転換し始めることになります。

人生の午後を迎えた局面の変化に応じて、人生の午前とは異なる目標を、感覚としても、設定せざるを得なくなります。素の自分を取り戻して、時間を忘れて没頭できる、自らがつちかってきた得意とする分野を、どのように活かすかに集中できます。真の個性化は、精神的な成長からもたらされ、自らを自己実現へと導きます。

自分らしい自分を取り入れた生き方を目指すことにより、主観的幸福度が上昇することから、自己実現の可能性は、人生の後半にあります。