嫌いになったもの ――不倫から離婚まで―― 

もったいない

深夜、酔って帰宅した元夫は、転んで腰を打って痛いとブツブツ言いながら寝室へ。 

翌朝、「体が動かない」と叫んでいた。

仕方なく手を貸すが「救急車を呼んでくれ」の一点張り。

救急隊員に「転んだ時、鼻からなにか出た、出た」と必死に説明していた。

救急隊に「はい、そうですか、分かりました」となだめられていた。

野次馬がすでに集まっていた。

私も緊急車両の音を聞くとすぐに飛び出し、野次馬の話を聞き、

なるほどと納得してその場を離れるので、集まった野次馬の気持ちも分かる。

ご近所の方に挨拶しながら、私も救急車に乗った。

搬送中に、業者に打ち合わせの日程の変更を頼まれた。

携帯のメールを間違えて開けてしまった。

「会いたい、愛している」だの、どの顔してやり取りしているのか。

読んでいる方が恥ずかしくなる。

元夫は何事もなかったように、すがすがしい顔をして診察室から出てきた。

家に連れて帰って、カレーを作った。

そして、あてもなく車を走らせ泣いた。

追伸

携帯の入ったバッグの中から避妊具が見つかった。

子宮のない私は「これ、いるの」「必要ないよね、捨てるよ」と言った後、

何を思ったのか、もったいない気がして元夫のバッグに戻した。 

開眼

相談なしで外車購入。こんな事は一度もなかったので、これは病気が始まったか。

確信はないが、デパートから届く、届く。若作りの服、男性用化粧品、

靴、靴下、とどめはブランドのパンツ(下着)。

これは病気の再発だなと確信。

静観するしかない、下手に騒ぐと尻尾をつかめなくなる。

さあ、今日からサバイバルゲーム開始、みなぎる闘志「頑張るぞ」。

追伸

元夫は、一重、仏像の半眼(瞑想の感じ)。

ある日、二重の手術を決行してきた。二度見してしまった。

私は怒りより、開眼したパッチリ仏像を見て大笑いしてしまった。 

【前回の記事を読む】精神科閉鎖病棟に入院する患者たちの日常。看護師と賑やかな生活