宇宙(うちゅう)遊泳(ゆうえい)みたい!)

ぐるぐる ぐるぐると回転(かいてん)する(なが)めにヘルプラオは愉快(ゆかい)になってたまらなくなって(こころ)から(わら)っていた。

その様子(ようす)()たローゼもたまらなく(うれ)しくなって(こころ)から(わら)った。

ふたりはチェスを満喫(まんきつ)したように(ふたた)び、夢中(むちゅう)になって(あそ)んだ。

「こまづくりの日々(ひび)はささやかな気付(きづ)きがあって(たの)しいのだけれど……わたしにはまだまだ()たり、()ったり、経験(けいけん)したことのない未知(みち)なるものが(やま)のようにあるのですね。()らない世界(せかい)がいっぱいある。ローゼさん、どうもありがとう!!」

 

ぐるり ぐるり ぐるり ぐるり……ひたすら(まわ)(つづ)けたヘルブラオは自分(じぶん)中身(なかみ)(から)っぽになってゆくような清々(すがすが)しさを(かん)じた。(ひたい)にはうっすらと、そして全身(ぜんしん)にはじんわり(あせ)をかいている。夜空(よぞら)では(ほし)がきらめいている。

「ローゼさん、ひと(やす)みした(あと)またチェスの相手(あいて)をしてもらえませんか?」

うんとリフレッシュをしたヘルブラオ。(いま)まで(かんが)()したことのない(あら)たなチェスの戦略(せんりゃく)(あたま)(なか)()かび(はじ)めていた。

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【前回の記事を読む】チェスセットも持って…軽やかにペダルをこぎ出し、知らない場所へ出発