知らない世界

 

(橋(はし)から見下(みお)ろす夕暮(ゆうぐ)れの川(かわ)は綺麗(きれい)だったな……)

(初(はじ)めて見(み)た蝶々(ちょうちょう)は新種(しんしゅ)かもしれないぞ……)

タンデムをこぎ続(つづ)けてゆくうちに見(み)たことのない景色(けしき)に囲(かこ)まれてヘルブラオは新鮮(しんせん)な気持(きも)ちになっていた。

 

上(のぼ)り坂(ざか)をふたりでタンデムを押(お)し進(すす)めれば丘(おか)の上(うえ)に現(あらわ)れた体育館(たいいくかん)。ローゼが扉(とびら)を開(ひら)くとそこには2本(ほん)の鉄(てつ)のリングを平行(へいこう)につないだ大(おお)きな器具(きぐ)が並(なら)べられていた。

「ようこそ、ヘルブラオさん! これはラートという競技(きょうぎ)で使(つか)うリングで、体(からだ)を入(い)れて回(まわ)るのですよ」

ローゼはラートの選手(せんしゅ)だった。ヘルブラオがこまづくりに勤(いそ)しむようにローゼもラートに励(はげ)んでいた。

「わあ、面白(おもしろ)そう! わたしにもぜひ、やらせてほしい!」

初(はじ)めてのことに挑戦(ちょうせん)するヘルブラオ。ドキドキとワクワクで胸(むね)がはちきれんばかり。

 
 

「ステップに足(あし)を置(お)いて、グリップを握(にぎ)ったら、反動(はんどう)をつけて、さあ、回(まわ)れ!」

ローゼに教(おし)えてもらいながら回(まわ)り出(だ)すヘルブラオ。ぐるり ぐるり ぐるり……