守るべきもの

では、具体的にどんなリハビリ計画を立てるのが良いのか。そもそも私が今、直面している病苦は不眠と様々な不定愁訴だ。実は私の不眠と不定愁訴はそれぞれが私を苦しめているのではなく、巧妙に連動してタッグを組んで私を痛めつけている。そのような状況をどう改善していくか、計画を立てるにしても、とりわけ不定愁訴の正体が謎なのである。

私の不定愁訴はおそらく50歳になった頃から始まっていたように思う。朝起き抜けの手指のこわばりと軽い痛みから不定愁訴は始まった。何だかスムーズに両手指が動かず、特に指先の動き、指の関節の動きが鈍くなった。しばらくは気になりながらも忙しさにかまけて放置していた。そのうち親指が伸ばせなくなった。

リウマチを心配し整形外科を受診したら、ばね指と診断された。ばね指は更年期に多い病気だ。それが不定愁訴の第1号だったと思う。その後、ホットフラッシュ、頭痛、肩こり、めまい、イライラ感、不安感などの更年期障害の様々な症状がヒットメドレーのように次々とシャッフル再生される日々が続いた。

その症状の中で、とりわけ、私を苦しめ続けたのが「めまい」だ。この「めまい」こそが、私の身体を再起不能にし、自分自身の身の回りのことすらできない状況に追い込み、そして私から保健師であることを奪った主犯であった。

めまいは睡眠時間が3時間程度になった頃から「たちくらみ」として現れ始め、その頻度と激しさは増していくばかりだった。それはちょうど私が課長に昇進した頃だ。役職につくことで私が職務上で果たすべき役割は日に日に増していき、短い睡眠時間をさらに削った生活を余儀なくされていた。