超、疲れた

入院の初日は忙しかった。持ち物検査、脳波、心電図、問診表の記入、病室、病棟での暮らし方(ベッドシーツの交換の日、入浴時間など)私は喫煙所の事しか興味がない。やっと解放され喫煙所に。入る時ちょっと勇気がいる。一斉に私を見ている。一本吸い終わると囲み取材のように、いろいろと質問された。

質疑応答が終わると、恐ろしいほどの早さで仲間入りできた。

追伸

絵を見て何に見えるか。木の絵を描いてくださいと言われた。疲れていたので縦に一本線を引いた。「からの」と看護師さんの視線。期待に応えてリンゴを一つ付け足した。看護師さんは納得したのか、やっと解放してくれた。

アイドル

夕食が終わって就寝時間までホールでテレビを見てる人。会話もない。やることもないのでテーブルを囲んでいた。要するに暇なのだ。

静寂の中、入り口が騒がしくなった。青年が手足四本、四人に捕まれ入院。(なまけものが木にぶら下がっている感じ)精神科あるある、頑張れ若者! 抵抗もむなしく保護室へ。

保護室の隣が喫煙所。数日壁を蹴る音が続いた。数日後の喫煙所。青年は笑顔で挨拶していた。彼は看護師さんの言うことを聞くように頑張ったら保護室から出られたと喜んでいた。

追伸

保護室でジャニーズに入るためにバク転の練習をしていたこと、ミュージシャンかアイドルになりたいと話してくれた。その日から病棟のアイドルになった。困ったことは、喫煙所が彼のステージになった。看護師さんに注意され部屋に連れて行かれる。もちろん手を振りながらはける。

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