D社とは、日常的に顔を合わせられる環境にないことから、保守点検で修繕などが発生した場合は、業務をガラス張りとし、遠く離れた場所にいても明確に把握ができるように対応していただくことを確認した。この時の担当者は、まだ若く、入社したてでもあったが、私たちと共に一緒に学び合いたいというスタンスで向き合ってくれた。
我々の要望や提案に対し誠実に向き合い、しっかりと受け止めてくれていた。修繕積立金は、管理費を適正に設定することで時間の経過で解決できる問題に変わっていった。
しかし施設設備は、耐用年数があり、時間と共に劣化していくという宿命を持つ。年月の経過とともに故障や腐食による修繕も増えてきてしまう。管理組合として様々な案件に対応していくためにも、財源をしっかりと確保していかなければならなかった。
また、この間、消費税の改定が行われ、大規模改修も含め、更なる支出の増加も懸念されたことから、管理費の増額も実施した。このような理事会からの提案を区分所有者の各オーナーに理解していただくために認識の共有は大切であり、理事の田中氏が『オーナー便り』を発行し理解を求めていった。
更に、理事会としても、管理の強化と安定性を確保していくために様々な提案を行い、またD社からも提案を受けつつ取り組んでいった。管理組合としての財源の拡大のために、自動販売機設置による販売手数料を組合会計に入れた。大きな金額ではないが一定金額が確保できるようになったのは、組合としての最初の一歩であった。
この他にも、建物への広告設置や利用されていない駐車スペースの駐車場管理会社への貸出、更には民泊導入についても提案をしていった。いずれも管理組合の財源拡大を目的としているが、民泊については、オーナーの家賃収入を増やし、かつ安定させることを目的としていた。
現在、各区分(居室)の家賃は5万円から6万円の間で推移している。引っ越しシーズンであれば高めの家賃を設定しやすくなるが、この時期を逃すと借り手優位の金額設定になってしまう。返済金額は毎月固定であるため、家賃収入が多ければ、返済金額を引いた後の額は増える。
逆に少なければ、赤字になり得ることもある。そしてなんといっても家賃保証がなくなった今となっては、常に退去に伴う空室リスクのことも考えておかなければならない。