思い返すと、小学校低学年の頃は、比較的平和だった。3年生くらいになると、家にいるよりも友達と遊ぶ方が楽しくなってきたため、毎日学校で放課後友達と夕方まで遊んで帰るようになっていた。毎日図書館で本を借りて、その後友達と遊んでいた。
でも家では常に顔色をうかがい、抑圧された毎日を過ごしていた私は、なにも考えずに発言し、はしゃぐということがとても苦手で、どうやったらみんなのように無邪気にはしゃげるのかさっぱりわからなかった。はしゃぐという術を知らなかったのだ。
そしてなぜだかわからないが、その頃から家でお母さんと喧嘩することが増えてきた。喧嘩なんてしたくないのに、喧嘩になるのだ。なぜなら、お母さんが私に何かと絡んできたり嫌味を言ってきたりすることが多くなっていたのだ。大人から絡まれて、太刀打ちできる子供なんている訳がない。そんな日が毎日続いていた。私はお母さんと喧嘩するのがとても悲しく、その時は怒ってギャアギャア喧嘩するものの、毎日夜寝る前に
「どうやったらお母さんと喧嘩せずに済むのか?私のなにが悪かったのか?」
と、ひとり反省会をしていた。
例えば世間話をしていたとする。そこで私が驚いて
「うそー!?」
と言うと、それまで普通にしゃべっていたお母さんは突然火がついたように怒り出し
「私が嘘を言うとでも思ってるの!?!?」
と怒る。なのでその日の夜の反省では
「次からは驚いたら『本当!?』と言うようにしよう」
と決めた。また後日、世間話をしていて、私は驚き
「本当!?」
と言うと、お母さんはまたもや
「はぁ!? 私が本当以外のことを言うとでも思ってるの!?」
とめちゃくちゃ怒り出し喧嘩になった。子供の私にはもうどうしようもない、なんと言えばいいのか、お手上げだった。大人のお母さんに口喧嘩で勝てる訳がなかった。だからいつもいつも悔しくて毎日毎晩泣いていた。
その毎日の喧嘩は防ぎようがなく、本当に毎日明けても暮れても喧嘩ばかり、口喧嘩や取っ組み合いの喧嘩をするようになっていた。そんな時、私はいつも
「なんでそんなに怒るの?」
と純粋に疑問に思い、聞いていたが
「あんたのためを思うから怒るのよ!」
と言われていたが、私は絶対に違うと思っていた。なぜなら、私はお母さんから憎悪しか感じていなかったからだ。私のためだなんて絶対嘘に決まっている。