花帆がお店の掛け時計を見て
「あら、もうこんな時間なの? 十二時前よ。何かお昼ここで食べない?」
美代子が
「ここのサンドウィッチとスパゲッティが美味しいのよ。結衣も時間大丈夫でしょう?」
「子供は今日は幼稚園の昼食会で帰りは三時頃なの」
「あら、昼食会だなんてシャレてるわね。誰が食事を作るの?」
「提携している仕出し屋さんが園に来て作るみたいよ」
三人は何を食べようか、しばらくの間思案していたが、花帆が一番乗りで
「美代子は昔からここの常連様だから味覚は確かだよね。私はスパゲッティにしようかな。結衣はどうする?」
「私は卵サンドにする」
「私はアメリカンクラブハウスサンドにする。飲み物もお代わりしましょうか?」
と美代子は二人に同意を求めた。
「賛成」
「美代子、アメリカンクラブハウスサンドって流石、外資系勤務のお嬢様ね」
と花帆が茶化して美代子を持ち上げた。
「会社の外国人上司が好きで丸の内界隈のホテルで昼食をとることがあって、私も初めて食べたときから、こんがり焼いた食パンに挟んだお肉やトマトのミックスが美味しかったの」
少し分けてあげるから食べてみて、と言って、代表して美代子が店員さんに分かるように右手を上げて、合図した。