サキ:縁起の法と因果律ですか。難しそうですね注2。
コウキ:難しくありません。簡単なのでよく聞いて下さい。まず「人生の経糸(縦軸)」として考えられるのが自分を取り巻く環境注3です。この環境を法則という視点から見れば、図表1のように、それは客観的な存在法則としての縁起の法です。
ここに「縁起の法」とは縁注4によって生じ縁によって変化するという法則であり、この世に存在する(being)すべてのものは重層的に相互に密接に関係し繋がりながら万物一体的に存在しているというものです。すべての事象は全体として1つ(万物一体:oneness)であり、相互に密接に関連し合って関係性によって成り立っています。
例えば、「空気があるから私たちは生きられるけれども、空気が存在しなければ私たちは存在できない」というものであり、事実において私たちは多くの縁(他力)によって成り立ち生かされています。それゆえに「縁を大切にすること」すなわち自分を取り
サキ:巻く人々や環境に配慮し良好な関係を築き上げることが重要なのですね。
コウキ:そのとおりです。他方、「人生の緯糸(横軸)と考えられる法則」は各個人の主体的な行為法則としての因果律です。ここで「因果律」とは因果応報の法則とも呼ばれ、ある原因(因)と別の縁(縁)が相互に作用(因縁和合)して、一定の結果(果)が生じるという行為に関する法則です。すなわち、原因としての行為について一定のプロセスを経て結果が生じるという行為法則です。
例えば、春にメロンの種を蒔き、夏までに適当な日光・雨・肥料を与えれば、夏に美味しいメロンが育ちます。すなわち、善い行為については善い結果が生じ(善因善果)、反対に悪い行為については悪い結果が生じる(悪因悪果)というもので、「蒔かぬ種は生えない、蒔いたとおりに花が咲き、それを収穫するのです」。
サキ:よくわかりました。すなわち、善い結果を期待するならば、「因縁を正し」善いことだけを考え行いなさいということ。つまり、「現在の瞬間」においては「因果律」と「自由(選択)性」が両立しており、今の瞬間だけが過去から自己を自由に解放し、新しい未来を切り拓くことができること。すなわち、未来の結果の原因となる思考や行動は今この瞬間において自由にコントロールできるということですね。
コウキ:そのとおりです。善いことを行うことは人間本来の姿であり、心の平安を確保し、成功し幸せな最高の人生を送るために最重要なポイントの1つです。
人生というドラマを織りなす法則
①人生というドラマを織りなす法則についての縦軸としては縁起の法、横軸としては因果律があります。
②縁起の法では人間関係や環境を大切にすること、因果律では積極的に善いことを行うこと(善因善果)が大切です。
注2:本書において岩崎は岩崎勇『幸せになれる「心の法則」』(幻冬舎 2020)を、岩崎・四海は岩崎勇・四海雅子共著『哲学 輝く未来を拓くために』(幻冬舎 2022)を示します。
注3:環境の種類には例えば、自然環境・社会経済環境・政治環境などの外部環境と自己の性別・年齢・性格などの内部環境とがあります。
注4:「縁」とは2つ以上のものを結びつける機能を果たすもののことです。