シャボン玉吹く

大きなる楡の木陰に

ほろほろと

シャボン玉吹くは

おろかの(わざ)なりや。

わが燃ゆるルビイの玉は

ゆらゆらと下枝をくぐり

大いなるブチ犬、小屋の中より見送るままに

リラかおる風にさそわれ

かなたなる小川の方えと消えて行きたり。

又一つ、サフィヤの(あお)

蝶病める芝布に降りて

露草の花さながらに、草の間に瞳閉じける。

さわいえど

丘のはて

ひまわりは

ゆらりとく

カラカラと

まわる太陽

蝉を追う子等の沓音(くつおと)

ほろほろと

又ほろほろと…

シャボン玉吹くは

おろかなる(わざ)なりや

あら、まあ、妙に気取った詩ね。でも、そんなふうに感じるのって私の心が老いたのかしら。「なんだか、おセンチねえ……」とか云いたくなって、困っています。ゲタが、きちんと脱いで置いてあるのを見て、また笑ってしまいます。ゲタまで気取っているんですもの。

 

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