【前回の記事を読む】「借金の仕方が分からない」退職による経済危機、乗り切れるか?
第二章 「寄り添うってなに?」
2.転職の日々
・うつとバードウオッチング
うつ病についても色々本を読んだ。看護師でも専門以外はよくわからないものだ。
「うつ病は心の風邪ではなく心のガンです」と書いてあって何だかほっとした。体のどこかの細胞が癌化するよりは楽だ。
『うつ病の毎日ごはん』(国立精神・神経研究センター・女子栄養大学出版部)には、美味しそうな献立と、「うつは治る病気です」と書いてあった。治る気はしないけれど付き合っていけそう。そして、「うつ病は頑張りすぎた人が頑張りが効かなくなってなる病気です」と書いてあって泣けた。がんばってきたことを褒められた気がした。
医師から
「あせらないでいきましょう、天気の良い日は太陽を浴びるようにしたほうが良いですよ」
と言われたので、天気と体調の良い日は、私も子どもたちと一緒に公園にバードウオッチングに出かけるようになった。
五年前、左眼のブドウ膜炎で失明の危機、三年前から右眼が飛蚊症でいつも虫がちらちらしているように見える。そんな目で鳥は見つけられないと思っていたけれど、これが、案外子どもたちと一緒にはまった。そして、どうやら私はかなり動体視力が良いらしく飛んでいる鳥がトビなのかワシなのかなどがわかるようになってきた。鳥の動きと次男の鳥情報を合わせると珍しい鳥も同定できて面白くなってきた。
仕事もせず遊んでいるが、確かに生きているという実感が持てる。生き延びてきてよかったとしみじみする。でも翌朝は「どうしよう」と落ち込む。そんな繰り返しだけれど、私はバードウオッチングを通して見事なまでに変化し成長してきた子どもたちにとても刺激を受けた。
好きなことをとにかく諦めずやり続ける。「それしかできないとのめりこんで」。それが彼を生かしてきたことを知った。母もこのままヘタレではいられないと思った。「お母さん」を張るために人生バンジーしたのだ。