第2章 対策1 学校教育に対する処方箋

02 高等学校以上、特に大学での国公立学校の増加

国公立大学の定員数の地域間格差

仮に国公立大学を増やせたとしても、注意しなければならない事が1点ある。日本では私立の大学が7割以上といっても、一部の地方では必要十分な国公立大学が存在している自治体もある。

「都道府県別統計とランキング」というネットで見つけた情報によると、島根県、鳥取県、そして高知県ではそれらの県を卒業する高校生の中で大学受験希望者数分の定員を、県内の国公立大学が確保しているとの事だ。念のため、他の情報ソースから都道府県別の進学希望者数と、各都道府県の国公立大学の定員を調べると、やはり人口の少ない地方ほど国公立大学の充足率が高い傾向が表れた。

一方、東阪名を中心とした都道府県では個々の自治体が確保している国公立大学の定員は低く、凡そ20%以下になっている。東京都は約11・5%で、一番低い埼玉県では約8・7%である。この差は明らかに不平等でこの問題を指摘した報道が有った記憶が無い事自体が驚きである。大都市の大学には全国各地から学生が集まる傾向にあるので、より一層狭き門になっている。

これを解決するための処方箋として、東京都などの大都市圏では、自治体内の大学希望進学者数以上の国公立大学の定員を用意すべきである。

日本人、特に若者の都会志向をどう変えるか

都会の大学に学生が集まる現象は、日本人の都会志向によるモノである。特に若者は刺激が沢山ある都会の大学に行きたがる傾向が有り、その気持ちは良く分かる。しかし平成から令和になって、地方の中堅・中核都市レベルでもかなりオシャレな店も増えてきた。そのお陰で、最近は若者の都会志向が多少は減ったと思えるが、まだまだ多くの学生は都会を目指している。

若者が好む街づくりの考慮も必要であるが、若者が増えれば自然と若者が好む店も増えるハズ。先ずは学生を呼び込むための必要数の大学の設置が地方では必要である。その前提条件が地方での国公立大学の設置である。

極論かもしれないが、地方が活性しない理由の一つが地方に若者が少ない事ではないだろうか。どんな田舎でも、5千~1万人規模の大学ができればかなり活性化できる。そしてそこから新しい産業もできるであろう。地方を活性化するためにも、地方における国公立大学を増やす事にメリットがある。