サキ:ところで、自分軸を優先すると社会との調整(「自分軸と社会との調整」)が上手くいかないのではないでしょうか。

コウキ:いい質問ですね。勿論(もちろん)、自分軸で人生を送ろうとする場合、その前提として「社会との良好な関係」が保たれなければなりません。そこでここ(本書)では社会との良好な関係を維持するために、自己中心的で利己的な考え方や行動を推奨するものではなく、反対に自利利他的な社会貢献などの考え方や方法が多く含められています。

すなわち、具体的には例えば、

㋐因果律(善因善果・悪因悪果)をここの基本的な考え方として道徳的な側面も重視し、常に社会にとって善いことをすることを勧めていること、

㋑人生の目的としては自己実現と同時に社会貢献も目指すこと(自己完成)、

㋒社会における役割や仕事注4の自己目的化という考え方を採用し、それに積極的に取り組むこと、

㋓自他一如(いちにょ)の考え方を採用して他者を自己と同様に思いやること、

㋔慈愛の考え方を採用して他者に対して優しくすること

などです。

サキ:よくわかりました。自分軸と社会との調整が上手くなされていますね。

コウキ:そのとおりです。人生における座標軸としての自分軸の例として図表3のようなものがあります。

図表3:人生における座標軸としての自分

注4:仕事(労働)には頭脳を使う思考(頭脳労働)と身体を使う作業(肉体労働)があります。脳には可塑性があり、筋肉と同様に、使えば使うほど機能が向上します。すなわち脳は学ぶたびに変化し再構築され、新しいことに出会うとそれに適応するためにシナプスを増やし、ニューロンを増殖させて発達させていきます。

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