2日目 私たちに力を貸してください

老人ホームを運営する事業者にとって入居者は大切なお客様です。しかし、何かモノを買うのと違い、老人ホームに入居することは、「そこで生活時間を買う」といい換えることができるのではないでしょうか。

老人ホーム側も、入居者受け入れに先立ち、お身体の状況等、例えばお身体にマヒがあれば、生活していくうえでできること、できないこと、そしてどのような病気を患われ、お薬を飲まれているかなど、情報の確認を行います。

しかし、これらの情報をしっかりと確認したとしても、実際に老人ホームに入居していただいた後、お手伝いをさせていただくと、その情報に「ズレ」があることが普通なのです。

例えば、入居者受け入れの際に確認していた情報が「左半身にマヒがある」といっても、そのマヒの状態は入居者ひとりひとり異なっているのが当然です。私たちはこの実際の状況を踏まえ、入居者に応じた介護手順を作成していくのです。

このような時、私は入居者のご家族に、いろいろと相談に乗っていただくようにしています。

もちろん入居者が介護を受けながら生活をしていくことに関するご提案ですが、そこでは入居者が生活をするうえで、身体を支えるのみではなく、「入居者の心を支える」という意味でも、入居者がこれまで歩んでこられた人生や、その価値観などを教えていただくようにしています。そうすると、入居者が老人ホームでの生活がより馴染みやすいものとなります。