八月十二日 サボとひなげし
修院の鐘が
二つ鳴った
二つはマルガリータ様を
呼ぶための鐘
急ぎ足の木沓の音がする
やっぱりマルガリータ様だ
ひなげしをいっぱい抱えている
彼女のあとに仔山羊がついて行く
マルガリータ様は
コポコポと急いで通る
仔山羊めも
トコトコ急いで通る
ひなげしは修院のとびらに消えて行く
修道院では人間の言葉よりも、鐘の音の方が雄弁でした。この詩も、鐘に呼ばれて、急ぎ足で、出向いて行くシスターをスケッチしています。ルチア様は鐘一つでした。私と仲良しのゴッツィ神父様は鐘三つだったかと思います。あたたかく穏やかだけれど、私語の少ない日々でした。それで「充分」でした。