投影されるのは人や出来事だけではありません。最も大きい単位では宇宙も投影物の一つです。つまり私たちはみんな、自分専用の宇宙を丸ごと一個持っている、ということです。しかもそれは自分の内側にあるデータが無意識のうちに映し出す実在しない幻想の宇宙です。

映画『マトリックス』の第一作目の冒頭で主人公のネオが信じていた世界、と言えばもっと分かりやすいかもしれませんね。ネオはごく普通の生活を送っていると思い込んでいましたが、実際には、現実だと思い込んでいた日常はネオが見ている夢の中の幻想の世界だったのです。

この「世界は幻想だ」という見方は昔からありました。般若心経では「色即是空」という言葉で「すべての事象に実体はない」と表し、仏教の一つの法相宗では「世界のすべては自分自身の心が作り出したもの」と説いています。また、中国の有名な思想家の荘子は『胡蝶の夢』という物語を通じて、私たちは夢の中を生きているのかもしれないという可能性を示しました。

なぜ、この知識が自分軸と幸せな人生の役に立つ「5つの見方」に入っているのかというと、人生に起こる様々な問題の真の原因を見つけ出し、解決し、再発を防止する力を取り戻せるからです。

投影の法則の仕組みは「鏡に映る顔についたケチャップ」とよく似ています。もしもあなたの顔にケチャップがついたら、鏡の中の顔にもケチャップがつきます。それを取りたければ、鏡面ではなく、あなた自身の頬の方を拭かなくてはなりません。鏡は原因がどこにあるのかを、結果として映し示しているに過ぎないからです。

そういう見方で、現実世界で起きている出来事を注意深く観察すれば、自分の内側のどんなデータが原因でこの現実が投影されたのかが分かるようになります。

つまり、現実世界で起きている問題や出来事は、外側の世界で勝手に起こるのではなく、原因はあなた自身の内側にあるのです。ということは、問題の解決策もあなたの内側にあり、それに取り組めば、解決と再発防止が可能となるのです。