存在を許されない……
B介君は、その自我脆弱のために、小・中では、かっこうのイジメの標的となっていたのである。そのために深い人間不信を持つに至り、小学校でも中学校でも友達と呼べる子は一人もいない孤独の中に在ったのだった。
常に「B菌」と呼ばれ続け、「自分は価値ある人間なのだ」と考えることができなくなってしまっていたのである。
小・中学生時代のイジメについて、B介君は、このように表現していた。「僕が何もしなくてもイジメ続けるんだ。僕が居ることを許さないんだ」と、彼は言ったのである。
「僕の存在していることを許さないんだ」と……だから、B介君の場合は、「自信を持つ」以前に“自分は生きる価値がある人間なのだ”と思えるようになるのが必要なのである。
私はB介君に、本当は自分は素晴らしい人間なのだということを気付いてほしいと願った。彼の心を解放してあげたい。人生は生きる価値があると思うようになってほしい。
狭い苦しみの結界から離れて、違う世界の息吹に触れてほしいと願ったのである。