夏が来て

不意に夏が来た

じとじとと雨の続いた後に

強い日射し、草いきれ

(あお)い空、そして蝉の声

俺の血が海を求めて

はじけた

夏はまるで魔法のように

俺の心をおどらせた

激しい光と黒い影で

白いときめきと黄色の眩暈(めまい)

どこに俺の帰っていく

場所があるのだろうか?

赤い吐息を吐きかける

酒の臭いのする女とも

しばらくの間お別れ、

黄色く熱い太陽に向かって

俺は豹のごとく

飛び上がる

厚い(さかき)の葉が

白く光っている

今、夏は沖縄を放たれて

着いたばかりなのに

もう秋の風が俺の

頬をなでている