五
佑介は、ドリブルでボールを運んでいる。相手は強豪の小学校。一人かわし、二人かわし、シュートの体制に入り、思いっきりシュート、と思ったら、キーパーに見事にキャッチされた。よく見ると、外国人、しかも女性である。横を見ると、相手選手がみんな外国人女性、しかも、美人ばかり。
佑介に話しかけてくるが、英語なのである。佑介は普通に英語で会話している。なぜかは分からないが、外国にいるような不思議な気持ちになっていた。さすがは外国人女性、何と、プレーが素敵と、佑介にキスをしようとする。佑介は恥ずかしさのあまり、思わずのけぞったところで、頭に激痛が走り、目が覚めた。反り返った拍子に壁に頭をぶつけていた。その衝撃でボールが頭に落ちてきた。
そのボールを袋に入れて、ランドセルと一緒に両手に持ち、下に降りると、既に食事ができている。
「何か、ドカンって大きな音がしたけど、どうしたの? ベッドから落ちた?」と裕美が聞くと、真理が、
「お兄ちゃん、また、変な夢でもみたんじゃない」
佑介が頭をさすりながら、「何でもないよ」と答えると、真理は、
「何、照れてるのよ。エッチな夢じゃないの」
佑介は意表をつかれて真っ赤になりながら、(えっ、やっぱり見えてるのか)と思いつつ、「やっぱりこいつ、超能力者か」とつぶやいた。