雨が降る

雨が降る、望みを無くした町に

びょうびょうと雨が降る

あるはわずかに残されたほこりと

絶えざるいらだちに

きりきりと痛む胸と

そして悲しみ

雪が降る、さびしさのひめたる町に

ただ音も無く雪が降る

あるは閉ざされた世界と

心かよわぬ女に

取り残された心と

そして苦しみ

   

若き日の晴れた日は

この町も望みにあふれ

精一杯力を尽くした

喜びの日々も過ごした

さきゆきのわからぬ

不安を残しながらも

霧が降る、悲しみも捨てた町に

ただただぼうっと霧が降る

あるは不確かな思い出と

爪痕も残せずに

去らんとする悔しさと

そして残照

「 紫服の髪の長い女 」 ─油彩、F10─